中国残留孤児援護基金の事業


中国残留孤児援護基金は、終戦前後の大混乱の中で、旧満洲(中国東北部)で
肉親と離別した日本人孤児
 やむなく中国に残留した日本人婦人
帰国後の自立に向けた援護事業を、
民間各方面の支援を受けながら、国の施策と協調して、
すすめていくために設立された団体です。


背 景 〜 残留孤児・婦人の帰国促進と定着自立の援護
終戦前後の旧満洲(中国東北部)は、ソ連の対日参戦により大混乱となり、肉親と離別した日本人孤児ややむなく中国に残留して中国人と結婚した日本婦人が数千人いました。
1972年(昭和47年)の日中国交正常化以来、これらの人たちの帰国問題がクローズアップされ、政府は、孤児の肉親調査と帰国希望者の帰国促進や日本における定着自立の支援策を進めてきました。
厚生労働省の調べ(令和4年7月31日現在)では、
  これまでに日本に永住帰国した人は、6,724人(家族を含めると約2万人)です。
年月の経過による問題の複雑・困難化  日本社会への適応への苦闘
帰国者とその家族にとって、帰国とは中国社会から異文化社会日本へ移住するという状況となり言葉をはじめ、習慣、価値観などの違いから、日本社会に適応するまで、中長期にわたり悪戦苦闘しなければなりません。
とりわけ孤児・配偶者の多くは、中高年となってようやく帰国したため、日本語や日本の生活習慣を十分に身につけるに至らぬまま、高齢化が進んでおります。そのため、帰国者が介護を必要とするときも、介護施設や介護員、または他の入所者との意思疎通ができず孤立化したり介護サービスを十分に受けられないという問題が出てきています。帰国者は世代により様々な問題を抱えていますが、この介護の問題が今後支援を要する最大の問題となると考えられます。

   当援護基金の事業

T 中国残留日本人孤児の養父母および中国等に残留する日本人孤児等に対する支援
中国残留日本人孤児の養父母等に対する扶養費の支払
    永住帰国した孤児は一般的に収入が少なく、中国に残された養父母の生活費を仕送りすることが困難なため、養父母の将来の生活費を扶養費として送金しています。半額は国庫負担です。   
  中国残留邦人等に対する生活状況調査および援助   
    何らかの事情により、未だ中国に残る孤児および残留婦人等の居住地に赴き、生活状況等を確認のうえ、必要な支援を行っています。   
  中国に残る中国残留邦人等の集団一時帰国の受入れ (厚生労働省委託事業)   
    さまざまな事情で中国に残留する邦人を、当財団が身元引受人となり、集団一時帰国の滞在期間中のお世話をしています。  
U 日本に永住した中国残留邦人等に対する定着・自立の支援
  養父母お見舞い訪中の援助  
    戦後長い間養育してくれた養父母を、帰国孤児が訪中して再会し見舞うのを援助しています。   
中国残留邦人等に対する就学資金の貸与
    中国帰国者をはじめ、二世・三世などが日本で生活していく上で必要となる語学や知識の習得のため、大学、専修学校、鍼灸学校および日本語教育機関での就学資金を貸し付けています。  
中国帰国者支援・交流センター等就学教材費の援助
    国が設置した中国帰国者支援・交流センターなどに通学し、日本語の学習支援を受ける受講生のうち、国の支援の対象外の人(呼び寄せた二世および三世)に対し、教材費を援助しています。  
  介護関連資格取得の援助   
    中国帰国者をはじめ、二世・三世・四世ならびにその配偶者が介護関連資格の取得を目指すために受講する介護職員初任者研修等の受講料の一部や、介護福祉士等の受験手数料を援助しています。   
  中国残留邦人等支援団体が実施する事業の助成   
  意思疎通生活相談・援助   
  中国帰国者の老後支援   
    高齢となった中国帰国者に対するさまざまな老後支援を行っています。   
@介護事業基盤整備援助および介護団体支援事業 NPO法人が、帰国者やその配偶者に視点をおいた介護事業を始める場合に、一定期間、基盤整備費として一定の額を援助しています。
また、既に指定事業者として事業を行っている法人が、帰国者等をサービスの対象としたことによって、運営に負担が生じている場合に、資金の一部を援助しています。
  A要介護支援モデル事業  要介護の高齢帰国者に対する支援の方法やシステムの在り方について調査、検討、試行をしています。  
中国・サハリン残留日本人の国籍取得の支援
    先の大戦末期に中国・サハリンに残留を余儀なくされた日本人が祖国に帰還し、日本での新たな生活を開始するに当たり、より安定した生活基盤を築いていくために不可欠な戸籍の訂正を支援しています。  
  普及啓発および広報   
  10 中国帰国者定着促進センターの運営 (厚生労働省委託事業)  
              昭和59年2月に開所しました。(所在地〜所沢市)
         
平成28年3月に閉所しました。
 
    中国帰国者等と、その家族が帰国した際、日本の社会に定着し、円滑な生活が送れるための基礎研修を行っていました。
永住帰国直後から6か月間、基礎的な日本語教育をはじめ、生活習慣の習得指導や就籍、就職の指導などを中心としていました。
また、帰国の時期にかかわらず、全国規模の日本語の遠隔学習(通信教育)を実施していました。
 
    中国帰国者定着促進センターで実施されていた事業は、現在、中国帰国者支援・交流センターに引き継がれて実施しています。   
  11 中国帰国者支援・交流センターの運営 (首都圏センター) (厚生労働省委託事業)           
              平成13年11月に開所しました。(所在地〜東京都台東区)   
  永住帰国した中国残留邦人等、その配偶者はもちろん、二世・三世やその配偶者を対象に、日本語学習支援、相談事業、交流事業および普及啓発事業などを行っています。地方公共団体、民間ボランティア、地域住民の協力を得ながら、帰国者への支援、交流事業を行っています。  
    平成28年4月からは、中国帰国者定着促進センターが実施していた、中国帰国者等とその家族に対する、永住帰国直後から6か月間の基礎的な日本語教育、生活習慣の習得指導や就籍、就職の指導や全国規模の日本語の遠隔学習(通信教育)を実施しています。  
  12 中国残留邦人等永住帰国者に対する就職の援助 (厚生労働省委託事業)  
  13 中国残留邦人等とその家族のための日本語教材等の開発および出版  

     寄付金募集についてお願い

当援護基金の事業の推進に当たっては、国からの委託費が交付されていますが、相当部分の事業費は、個人、団体、企業から寄せられた浄財を充当しています。   
しかしながら、戦後77年が経過し、本問題に対する国民の関心や意識も薄れかけており、また、長かった不況等の影響もあり、募集額達成に苦慮しています。   
これらの経緯をご賢察いただき、みなさまに 愛の手を差し伸べていただきますよう、お願い申し上げます。   

        当基金への寄付金には、一定の要件のもとに、減税措置が講じられています。

       ○ ご連絡、お問い合わせは、下記へどうぞ


公益財団法人
 中国残留孤児援護基金

事務局移転  令和3年9月1日     
虎ノ門駅南地区の再開発への対応です。
〒103−0002
東京都中央区日本橋馬喰町1丁目6番8号
          Imas Works Bakurocho 4階
   TEL: 03−6667−0552
   FAX: 03−6667−0553
   
https://www.engokikin.or.jp
中国帰国者支援・交流センター
https://www.sien-center.or.jp

(221006更新)